この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
2019年6月、バルセロナ旅で絶対に訪れたかった場所のひとつ、アントニオガウディが改修デザインを手がけた建築、世界遺産、カサ・バトリョに行ってきました。
1996年にバルセロナを旅した時は公開はしておらず、外観しか見ることはできませんでした。2002年、ガウディ生誕150年を機に後悔されるようになり、2005年アントニオガウディの作品群のひとつとして世界遺産に登録されたそうです。
たくさんの見学者がいたので写真を撮るのは大変でしたが、今回はカサ・バトリョの美しい空間を紹介したいと思います。
女性一級建築士「みゆう」が書いています!。自身の母親としての悩みと経験を活かして、子育て中のパパママの家事・育児負担を減らす家を設計しています!旅とサッカー観戦が大好き。学生の頃にバックパッカーで一人旅したバルセロナに再訪しました。
ガウディがデザインした世界遺産建築、カサ・バトリョとは
カサ・バトリョは1877年に建築された建物。所有者である繊維会社社長、ホセフ・バトリョ・イ・カサノヴァスはガウディにファサード(正面)の改装と中庭の改修を依頼しました。
最終的には地階と1階の拡張、もともと5階建てだった建物を6階+屋根裏部分の増築や内装の全面的な改修を行いました。上階に一部ガウディが手掛けていない部屋もあるそうです。
隣の建物に負けない!デザインのカサ・バトリョ
※左隣建物が「アマットリエール邸」
カサ・バトリョが建つグラシア通り(Passeig de Gràcia)の隣に、1900年プーチ・イ・カダファルクというモダニズム建築家設計の「アマットリエール邸」が完成。自分の建物を気に入っていなかったオーナーがガウディに改修デザインを依頼したのが、この美しいカサ・バトリョが生まれるきっかけだったそうです。
いえづくりレシピをプレゼント!
鱗のような屋根と動物の骨のような柱、カサ・バトリョの外観
カサ・バトリョの外観は本当に美しいですね。ガラスとセラミックでいろんな色を表現した外壁。美しい曲線の石のバルコニーと、鉄仮面のようなバルコニー。そしてホールの大きな窓の色とりどりのガラス。
訪問した後に現地在住の方に伺ったのですが、訪問した2019年6月の、ほんの少し前まで改修のために足場がかかっていたそうです。いやあ、本当に良かったです。
鱗のような屋根
カサ・バトリョの特徴のひとつが、爬虫類のようにも見える鱗のような屋根、ですね。本当に色鮮やかで曲面が美しく、建築物でいかに自然の美しさに近づけるかという「自然への敬意」があらわれるファサードです。
まるで鉄仮面のようなファサードのバルコニー
大通りに面した建物のファサードは単一なものになりがちですが、カサ・バトリョの素晴らしさはファサードの凹凸にあると思います。鉄仮面のようなバルコニーが壁から軽やかに飛び出しているような様子。
モンジュイック産の砂岩でつくられたという、曲線が美しい2階のバルコニー。
横から見ると、いかに曲線を使って凹凸を見せているかが分かります。
ガラスとセラミックで美しく色が変化するファサード
壁にはガラスとセラミックを使い、まるで海のような美しい色合いを見せています。
壁だけではなく2階ホールの大きな窓の上部には青系の丸いステンドグラスが海の泡のように見えます。
時間によっても色の変化が美しく見られるでしょう。
カサ・バトリョの1階階段から2階サロンへ
1階は店舗で、2階はバトリョ家の住居、3階以上が賃貸住宅だったというカサ・バトリョ。
1階エントランスからバトリョ家にあがる階段より見学ルートがスタートします。
曲線が美しい螺旋階段
巾木の曲線、階段の側板のまるで恐竜の骨のような連続した曲線、手すりの滑らかな曲線。
上階に吸い込まれていくような階段です。
天井との境が感じられない壁
どこまでが天井で、どこまでが壁なのかわからないくらいの空間。
つながり。導かれるような、階段。
階段室の明かり取りの天窓もステンドグラスになっていて、その模様が美しいですね。
そして2階のサロン、ホールに入ります
そして、2階へ。ここからはバトリョの住まい、道路に面した大きな窓のあるサロンに入ります。
いえづくりレシピをプレゼント!
カサ・バトリョの2階、サロン
このホールはとにかく見学者が多くて(訪問したのが日曜日だということもあったのですが)なかなか写真が撮れなかったので、どうしても天井に近い位置の写真が多くなります。
いや、人が多いから、だけではないですね。
壁から天井、扉の曲線などが本当に美しいので、注目してしまうのも高い位置が多かったのかもしれません。
渦を巻く天井
まるでアンモナイト化石のような天井。柔らかささえ感じてしまう天井です。
大通りに面した大きな窓
大通りに面した大きな窓からは、有機的なかたちで存在する柱が見えます。
たくさんのひとたちが大通りからこの建物を見ている様子も見られました。直線があるのだろうかと思ってしまう窓です。
窓につく取手は、人が握った形状を象ったもの。ショップにこの取手のマグネットが売られていたので思わず買ってしまいました。
欄間のステンドグラスも様々な色を使用
木製の扉も曲線が美しい扉なのですが、欄間のステンドグラスもまるで化石のようなガラスを使っていますよね。
海の水や泡のようで、貝のようにも見える模様です。
入り口によって欄間のステンドグラスの色も異なります。
大通りに面したホールに入る扉の欄間はブルーのステンドグラスでした。
緑系のステンドグラスを使用している扉。このほかに赤系のステンドグラスを使用する扉もありました。
カサ・バトリョの中庭と裏側の外観
カサ・バトリョの2階には、大通りと反対側に広い中庭(テラス)があります。
都市部でこのような広く空が見えるプライベートの庭があると心地よいですね。
3階から上は賃貸住宅だったそうなので、心地よい暮らしをつくるための裏側の表情なのだと思います。
2階中庭、テラスに出るホール
また、私がかなり好きなのは、この裏側のテラスに出る2階のホールです。
色とりどりに装飾された柱、テラスの装飾を眺める曲線の窓。そして天井の装飾です。
天井に照明器具は取り付けられていませんでしたが、大通りに面したサロンとは異なり、プライベートでゆっくりできそうなこのホールがとても落ち着きました。
いえづくりレシピをプレゼント!
カサ・バトリョの屋上と煙突の造形
ファサードのところでカサ・バトリョの屋根が特徴的と書きましたが、屋根の曲面が引き立てているのが、このダブル十字の塔。
屋上からは吹き抜けや煙突が見えるのですが、この煙突も屋上だからとそのまま見せるのではなく、美しくデザインされた建築物の一部になっています。
放物線のアーチが連なる屋根裏
奇跡的に人がうつらない状態で撮れた屋根裏の空間です。放物線上のアーチが連なる様子は、カサ・ミラの上階でも見られました。
動物の骨格のような放物線。光の取り込み方がとても美しいです。
屋根裏の床タイルはグレーの花柄でとても可愛らしく、色とりどりの空間を見てきた後に、モノトーンの石と鉄の螺旋階段と床タイルが印象的でした。
いえづくりレシピをプレゼント!
光の取り込みを感じさせる階段室のブルーの壁
カサ・バトリョで一番海のような空間だと感じるのはこの階段室かもしれません。
この階段室のブルーのタイルは、下の階にいくほど薄い色のブルーになり、上階に行くほど濃いブルーのタイルになります。
下階の方が日が入りにくいので、同じ濃いブルーだと下の方が暗くなってしまいます。
実際のタイルの濃淡よりも、光が入り込むことでタイルのブルーは濃淡があるように見えません。採光による視覚効果を配慮しているのですね。
この濃いブルーも薄いブルーもとても美しく、本当に海の底にいるようでした。
ゴールド・パスで入れるプライベートホール
私は今回「ゴールド・パス」で予約しました。
というのも、今回バルセロナに行くことが決まってからバルセロナに着くまでに1週間程度しかなく、かつ自由時間のスケジュールが確定したのが本当に数日前だったので、時間変更をする可能性があったからです。
カサ・バトリョの「ゴールド・パス」だと予約変更可能だと聞いたので、変更する可能性も考えて「ゴールド・パス」にしました。
ゴールドとシルバーパスで入れる「プライベートホール」があります。人が少なかったので、やっとゆっくり見学できました。
ここで衣装を着て撮影もできるそうです。
私は建物を見るのにたっぷり時間をつかってしまったので、撮影はしなかったのですがレトロな服を着て撮影ができるようですよ。
いえづくりレシピをプレゼント!
カサ・バトリョのアクセス、予約
カサ・バトリョはグラシア通り(Passeig de Gràcia)に面してとても分かりやすい場所にあります。
最寄り駅は通りの名前と同じ、地下鉄「Passeig de Gràcia」駅です。2、3、4号の地下鉄が止まる駅です。
私は当日午前中にカンプ・ノウの見学に行っていたので、休憩に戻ったホテルからタクシーに乗りました。バルセロナのタクシーは利用しやすいですね。
カサ・バトリョの予約方法
下記のカサ・バトリョの公式ページ(英語ページ)からチケットの予約ができます。
通常の予約は「Visit Casa Batllo」から。
夜や、朝一番(開館30分前)人が少ない時間帯に見られる予約もあるそうです。
カサ・バトリョの見学費用
通常時間帯の見学費用は「ブルー」が25ユーロ、「シルバー」が33ユーロ、「ゴールド」が35ユーロです。
全てにスマートガイドがついています。これ、本当にいいですね。
私は「ゴールド」で予約したのですが、それは予約の変更ができるチケットだからです。シルバーとゴールドだけ「プライベートホール」に入れますが、絶対に見ないといけない空間ではないかなと思うので、時間にも余裕のある通常の見学であれば「ブルー」で良いと思います。
ゴールドにしてよかったのは、優先入場でしょうか。ゴールドで待つ人が一人もいなかったので、全く待つことがなく入ることができました。訪れたのが日曜日だったこともあり、おそらく他の日よりも多かったのだと思います。外ではかなりの人が並んでいました。私は次にカサ・ミラの見学も控えていたので、スムーズに入れたのは本当に良かったです。
カサ・バトリョの内部を見た方がいい?
建築士の私は絶対に見るべきだ、というのは当然なのかもしれませんが、カサ・バトリョの魅力はファサードの美しさだけではなく、建物の持つ機能にもたらした美しい装飾だと思っています。
バルセロナの魅力や、ガウディの魅力が詰め込まれた建物ですので、ぜひ内部も見られることをオススメします。
どうしても絞ってガウディ建築を楽しみたいのであれば、私はこの「カサ・バトリョ」と「サグラダ・ファミリア教会」を見ることをオススメします。「カサ・バトリョ」と「カサ・ミラ」は近いので、私はこの2つを連続して見学しました。
ただ、じっくり見たので、ふたつの建築を見終わった後はかなり疲れましたが。
見学時間は私は2時間くらいかかったと思うのですが、ガイドを聞きながら見ると少なくても1時間くらいはかかると思います。
カサ・バトリョの内部を見る時の注意点
カサ・バトリョはそれほど広くない階段を昇り降りして見学します。
天窓のあるブルーの階段がとても美しいので昇り降り自体は大変ではないと思いますが、私が困ったのは「水」でした。訪れたのが6月。それほど暑い日でもなかったのですが、階段の昇り降りもありますし、ゆっくり見学していたこともあって、とても喉が渇きました。
内部ギャラリーショップでもペットボトルの水は販売していますが、サイズが小さく割高だったので、事前に用意しておくことをオススメします。サグラダファミリアやカサ・ミラではあまり思わなかったのですが、カサ・バトリョでは「水が欲しいーーー!!」とすごく思いました。
あとはあまり広くない階段の昇り降りがあるので、大きめのバッグは持たない方が良いかなと思います。
ちなみにエレベーターもあるので、車いすを利用している方も見学していました。
バルセロナに訪れて、ガウディ建築を楽しむなら「カサ・バトリョ」へ
バルセロナのアントニオガウディ建築と言えばサグラダファミリア教会と思う人が多いと思います。
実際にガウディの思いをたくさんの人たちが受け継いできた建築がサグラダファミリアです。
でも、その空間がなぜ生まれるのか、というのを知るきっかけになるのはこの「カサ・バトリョ」であると思います。
なぜなら、この建築で「機能はすべてうつくしく形になる」ということを伝えているから。
ガウディの建築がただの装飾ではなく、機能を美しく存在させている建築であることが分かりやすいのはこの「カサ・バトリョ」であると思います。オススメはこの「カサ・バトリョ」に訪れた後に、サグラダファミリアに行くことだと思います。
ガウディ建築のオーディオガイドはどれも素晴らしいものなので、ガイドを聞きながらゆっくり空間を楽しむことをオススメします。