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バルセロナにて、まさかのカンプ・ノウでサッカーをすることになった翌朝。疲れているから朝はゆっくりしよう、と思っていたのにも関わらず早朝に目が覚めました。
早朝、開園時間の前であると「グエル公園」が予約なし無料で入場できると聞いていましたので、ホテルの朝食を食べる前に「グエル公園」に行ってこよう!とタクシーに乗り込みました。
このブログは女性一級建築士「みゆう」が書いています。自身の母親としての悩みと経験を活かして、子育て中のパパママの家事・育児負担を減らす家を設計しています。旅大好き!1996年大学生の頃にバルセロナを起点にしてスペイン・モロッコを一人旅しているので、今回のバルセロナは2回目の訪問でした。
グエルとガウディが手掛けた未完の都市住宅地計画
「グエル公園」というように言われているので、公園としてガウディがデザインした場所だと思われるかもしれませんが、もともと「グエル公園」は実業家のグエルとガウディが夢見た、田園都市型の分譲住宅地計画地でした。
自然と芸術に囲まれて暮らせる斬新な価値観が当時の人たちに理解されることなく、買い手がつかないために事業が未完で終わってしまいました。
バルセロナ北西、自然あふれる丘陵地に計画された都市計画
バルセロナ北西の街を見下ろす、海抜150メートルの丘陵地に住宅地を計画したのは、当時バルセロナに工業化が進んだためで、イギリスの田園都市構想などもきっかけになったと言われています。
60軒の分譲住宅地を計画し、馬車の軌跡を考慮した馬車道や、広場、市場となる広場下のホールなど、自然を感じさせる美しいデザインでインフラを整備していきました。
ガウディのスポンサー、エウセビオ・グエル
ガウディの友人でもあり、生涯最大の後援者であったエウセビオ・グエル。ガウディよりも6歳年上で、父が築いた繊維会社にとどまらず、父親譲りの経営手腕を見せた企業家でした。文化教養を身につけ、ガウディもグエルの思想に親近感を感じていたそうです。
ちなみにグエル公園の他に、サグラダファミリア教会の元になったと言われる「コロニア・グエル教会」「グエル邸」などもグエルが施主であり、グエルがいたからこそ、ガウディがバルセロナに素晴らしい建築を遺すことができました。
2戸の住戸のみで終わった未完の事業
当時の人たちには理解されることの無かったこの田園都市型の分譲住宅は、最終的にはガウディとグエルの2つの住戸建設のみで終わり、グエル死後、1922年に都市公園としてバルセロナ市に寄付されました。ガウディの晩年の住居はガウディ博物館になっています。
世界遺産に登録された「グエル公園」
グエル公園は1984年、グエル邸、カサ・ミラと共に世界遺産に登録され、のちにサグラダファミリア教会やカサ・バトリョも加わり「アントニ・ガウディの作品群」として登録名を改めています。
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大階段のあるグエル公園のエントランス
バルセロナはタクシーが結構便利ですね。基本的には地下鉄を利用しましたが、時間があまりない今回の旅ではタクシーを数回利用しました。ちなみに、学生時代にグエル公園に訪れたときは、公園の裏手の丘にあるユースホステルに泊まっていたため、徒歩で訪れました。お金はないが時間はある、という学生らしい旅でしたね。
タクシーで公園エントランス前に到着。グエル公園はバスや地下鉄では少し行きにくい丘の上にあるのでタクシーを利用する人は多いようです。
8時の開園前は本当に無料で入れました。営業時間前入園というのも不思議ですね!
トカゲの噴水があるグエル公園の大階段
グエル公園といえばトカゲの噴水があるこの大階段をイメージする人も多いと思います。知人が訪問した時は改修中だったそうですが、トカゲの階段部分は改修工事は終わっていました。
なぜトカゲ?と思われるかもしれませんが、サグラダファミリア教会に行っても自然や動物のモチーフはたくさん見られます。ガウディが自然という美にいかに敬意をもっていたかが分かりますね。
ここで写真を撮ると必ず人が写る、と言われましたが、朝早い時間だったので比較的少なめでした。
カラフルな内壁の色が印象的な守衛所「お菓子の家」
エントランスの門扉の両側、大階段下には、事務所(現在はショップ)と守衛所の建物があります。
サルバドール・ダリはこの建物を見て「砂糖をまぶしたタルト菓子のようだ」と評したそうです。入り口右側の守衛所は内部を見学することができました。広い建物ではないので、入場制限はしています。カラフルな壁が特徴の素敵なインテリアでした。
入り口前にはタイルで書かれた「グエル公園」
門の外には「グエル公園」とかかれたタイルの装飾があります。
色鮮やかな、波打つベンチで囲まれた人口広場
トカゲのオブジェがある「グエル公園」の大階段をのぼると、そこには列柱のならぶ神殿のような空間があります。その上に色とりどりの模様で彩られた波打つベンチのある人口広場があります。
ドーリス式列柱廊
大階段をのぼった先に、86本のドーリス式列柱が並ぶ空間があります。目的がよくわからない空間ではありますが、住宅地として構想していたときには住民のための市場がここにできる計画だったそうです。上部にある人口広場を支えています。
この柱の内部は空洞になっていて、雨水が地下に落ちやすい構造になっているそうです。
広場の波打つベンチの外側先端には雨どいとしてのライオンの彫刻(ガーゴイル)があります。
現在このドーリス式列柱廊は足場が組まれて改装工事中です。
天井がぽろっと落ちているところもありました。グエル公園にかかる足場に興味津々でした(笑)
ちなみに、この列柱が支える床(下から見ると天井ですね)部分は、スペイン初期の鉄筋コンクリート工法。グエルが経営していた事業のひとつがセメント工場だったこともあり、資材として利用したようです。
バルセロナの街が一望できるグエル公園の広場
足場の組まれた列柱廊サイドの階段から、大きな人口広場にあがっていきます。この広場は「ギリシャ劇場」と呼ばれているそうです。
見晴台ともいえるこの波打つベンチのある広場。バルセロナの街や海が見渡せて、もちろんサグラダファミリア教会もこの広場から見ることができます。
学生の時は、このグエル公園からサグラダファミリア教会まで歩いていきました。とても懐かしい思い出です。
タイルで鮮やかに装飾した波打つベンチ
不良品のタイルやガラスを粉砕して散りばめたという装飾がとても色鮮やかで美しいです。ベンチはゆっくり座れるように、座り心地を考えたなだらかな形状になっています。
ドーリス式列柱廊の天井装飾や、このベンチの装飾は、ガウディの助手としてデザインに携わった建築家「ジュゼップ・マリア・ジュジュール」による考案です。
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石の回廊と、花や植物を楽しめる庭
人口広場からバルセロナの街を見て右側には、地形を生かして作られたと言われている石の回廊。左側にはガーデンとガウディの家があります。
まるで自然に作られたかのように見える回廊
まるで自然に石がつくりだしたのではないかと思ってしまうほどの回廊。人工のものがここまで自然に溶け込んでしまうのは驚きです。傾斜地を活かして上の道路を支える擁壁として柱廊がまるで回廊のように作られています。砕石を利用した柱。人工的な建築物と感じさせる広場下のドーリス式列柱廊との差が際立ちます。
ドーリス式列柱廊の天井装飾が太陽や空をイメージするような装飾であるのに対し、この回廊は大地をイメージさせます。
緑豊かな庭とガウディの家
大地を思わせる回廊の反対側にはなだらかな傾斜に沿って庭があり、1軒の家が建ちます。
これがガウディが住んでいた家だそうです。この田園都市型の分譲住宅地のモデルハウスとしてつくられた家で、ガウディの友人が設計したとのこと。今回はこの建物は見学しませんでした。ガウディ博物館として公開されているそうです。
予約なしで見学ができる朝の「グエル公園」
1996年にグエル公園に訪れたときにはどこからでも入ることができる普通の公園だったのでした。公園の裏手側の森の階段をのぼって見下ろした先にグエル公園があったのを思い出します。2013年から一部分が有料となったようです。今回紹介した場所はほぼ有料エリアでした。
現在は季節によって変わりますが、私が訪れた6月は8時~21時半が営業時間でした。
下記の公式サイトで入場チケットの予約が可能です。一般は10ユーロです。
どうやら2019年にシャトルバスが運行されはじめたようで、このチケット代にグエル公園へのシャトルバスの費用も含むようです。
とても不思議なシステムではあるのですが、この時間以外(早朝、夜間)はチケットなしで無料で入れます。入場してしまえば、その後に有料の時間になってもチケット代を支払う必要はありません。
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バルセロナの街も一望できる、朝のグエル公園がオススメ!
朝のグエル公園は有料エリアも無料で見学できるので本当にオススメです。
ただ、時期によっては早朝や夜間の治安が良くないと言われています。私が訪れたのは6月だったので7時くらいの時間はもちろん明るかったので、観光客の方も多く見られました。同じことを考えていたらしい、今回の旅仲間も同じ時間にグエル公園に来ていました。(途中から一緒に周って、帰りは一緒にタクシーで帰りました!)
グエル公園は坂の上にあるので、タクシーで来られる方も多いようです。そのため、帰りもタクシーに乗りやすいのがいいですね。坂を歩いておりた学生の頃も楽しかったですよ!
グエル公園の周辺も美しい建物がたくさんあります。バルセロナの街はやっぱり美しいですね