「使える」子ども部屋をつくるには~空間を有効活用できる家

「使える」子ども部屋をつくるには~空間を有効活用できる家

子ども部屋を作っても、乳児期から小学校高学年くらいまで約10年ほど子ども部屋が有効利用されていない家が多く見られます。しかし、思春期以降は必要となる子ども部屋。

個室として子ども部屋を使う時期と使わない時期、どちらも空間を有効利用するために「使える子ども部屋」を作ることをおすすめします。それでは「使える子ども部屋」を作るにはどのような計画をしたら良いでしょうか。

子ども部屋を子どもの個室として使う時期

子ども部屋を個室として使う期間

子どもの性格と親の子育ての考え方によって異なりますが、子ども部屋で遊び、勉強し、自室で寝るようになるのは小学校高学年~中学生くらいからでしょうか。短い子は3~4年、高校卒業して家を出るお子さんの場合は10年というところでしょうか。そう考えると、生まれてから子ども部屋を使い始める時期までの期間より、子ども部屋を個室として使う期間が短いお子さんも少なくありません。

  1. 子ども部屋として使わない時期(乳幼児期、低学年、子どもの独立後)
  2. 子ども部屋として使う時期(小学校中学年、中高大生、独立するまで)

家を建てる時のお子さんの年齢にもよりますが、子どもが「個室」として子ども部屋を使う時期と、使わない時期、どちらも有効利用するためには、それぞれの時期にどのような使い方をするか考えておく必要があります。

子ども部屋を有効利用する例

子ども部屋をお子さんが使い始めるまでにどう部屋を利用するか、また子どもが独立してからその部屋をどう活かすか。家を建てる前に一度考えてみましょう。

子ども部屋の有効利用の例(個室として使わない時期)
  • 室内干しスペースにする
  • シアタールームにする(遊び部屋にもなる)
  • 将来的に2室に間仕切りできる大きな部屋にしておいて、子どもの小さいうちは主寝室とする
  • 夫婦のそれぞれの寝室、もしくは趣味部屋にする
  • 本の間にする
  • リモートワーク部屋にする

子どもが小さいうちは主寝室として使う

お子さんが小さいうちは川の字に布団やベッドを並べて寝る、というご家族が多いのですが、主寝室にベッド3~4台並べられる間取りにしている家はそれほど多くありません。広さは確保していても入口のドア、クローゼットドアなどがあり、ベッドが配置できない間取りはよく見られます。

将来的に2室に分けられる子ども部屋にする場合、添い寝が必要な時期は2室分の広い子ども部屋にお布団やベッドを並べて主寝室扱いにしても良いと思います。

家事室+遊べる部屋にする

鬼くるみの無垢フローリング

2室を間仕切り戸などで分ける場合は、片方を洗濯物を干す室内干しスペースにして、片方をジャングルジムなどを置いて遊べるスペースにしておくのも良いでしょう。洗濯物を干す作業をしているときにお子さんが隣で遊べると、家事をしながら子どもの様子を見られて良いですよね。

実際に「キッチンを囲む家」では、子ども部屋を利用して室内干しをしていたそうで、お子さんが小さい間は遊んでいる横で物干し作業ができたそうです。この家は洗面所の隣に子ども部屋があるので、その動線も短くて家事が楽になったと喜ばれました。

ちなみに、この家ではフリースペースにも室内干しができます。個室として子ども部屋を使うようになれば、そちらで洗濯物を干すことも可能なので安心です。

子ども部屋を個室として使う時期に不便にならない工夫も必要です。

実例を見る

鬼くるみの無垢フローリング ブランコとロフトのある、開放感あふれる子ども部屋

夫婦それぞれの寝室として使う

年齢を重ねると眠りが浅くなるため夫婦別室にしたいという人も増えます。そんな時期に夫婦それぞれの部屋として子ども部屋を使うのも良いかと思います。もちろん、それぞれの趣味部屋、ワークスペースにしても良いでしょう。

子どもが独立した後も部屋を有効利用できるように事前に考えておくと、育児が終わった後の暮らしも楽しめるのではないでしょうか。

シアタールームにする

小さいお子さんがテレビばかり見たがって困る、リビングダイニングにテレビが無くても良い、と言われていた相談者さんがいました。その方に2階の個室(将来子ども部屋として使う部屋)をテレビ部屋・シアタールームとしたらいかがですか?とオススメしたらその後とても暮らしやすくなったと感想を頂きました。

1階リビングダイニングの場合、個室のある2階にサブリビング的な空間を設けていれば、お子さんを寝かしつけしたあとにゆっくりすごしたり、洗濯物を畳んだりする部屋として使えますね。子ども部屋の1室をそのような使い方にしても良いのかなと思っています。

家づくりの際に工夫すると良い子ども部屋の間取り

子ども部屋を個室として使う時期は、ベッドとデスク、本棚と衣類収納、というように部屋の使い方をイメージしておきましょう。ご夫婦が本を多く持っている、スポーツの趣味がある、という家庭の場合は同じようなものを子どもも所有すると考えておくと良いと思います。

子ども部屋をお子さんの個室として使い始める前と後、そして子ども部屋として使う時期、それぞれに使える子ども部屋にしておくために、家づくりをするときのお子さんの年齢によって考えておくと良いポイントを紹介します。

お子さんが乳幼児の場合

ロフトがあり日当たりも良い子ども部屋

妊娠中、もしくはお子さんが乳幼児の間に家づくりを計画する人はとても多いですね。お子さんが乳幼児だと家づくりの際に個室のことまであまり考える余裕がなく、「主寝室+子ども部屋2つ」いうようにとりあえず子ども部屋を設けているケースが間取り相談でよく見られます。しかし、家が完成した時点でお子さんが乳幼児の場合は7~10年近く子ども部屋を個室として使わないと思って良いでしょう。

広い子ども部屋を作っておいて2室に分けられるようにするのは乳幼児のお子さんがいる家庭が一番適しています。

使い方としては前述した、お子さんが小さい間は主寝室として使う、家事室+遊べる部屋とする、というような活用方法がおすすめ。将来2室に分ける子ども部屋にする場合は、クローゼットと入口ドア、窓の位置に気をつけましょう。2室に分けた時も、1室として使う時もどちらも家具配置ができるようにしておくことが大事です。

お子さんが小学生の場合

子ども部屋の造り付けデスク

小学生の場合は寝る部屋、勉強する部屋として子ども部屋を使わないとしても、自分の部屋は欲しいというお子さんは多いと思います。この年代の場合は、初めから子ども部屋をしっかり分けて作っておいた方が良いと思います。

小学校低学年で家が完成した場合、高校卒業、もしくは大学卒業くらいの年齢で独立して家を出ると想定すると10~15年は個室としての子ども部屋を使うことになります。水回り等のリフォームをする必要が出てくるのが新築後10~15年の家が多いので、リフォーム時期を合わせて子ども部屋をその後の暮らしに適した空間に作り替えるのも良いと思います。

お子さんが中高生の場合

2室に分けた子ども部屋の引戸
2室に分けた子ども部屋の引戸

中高生のお子さんの場合は音にも配慮して子ども部屋を作ると良いと思います。過去にも防音効果のあるドアを使用したり、2室に分ける時にお互いの音が伝わりにくいリフォームをしたことがあります。

この年代であると、残り子ども部屋として使う期間は少ないかもしれません。

ただ、お子さんがこの年代になって家づくりをした方から「確かにこの家で過ごす期間は残り少ないかもしれないけれど、快適な環境でこの家での時間を楽しんで欲しい」というお話を伺いました。子ども部屋として本領発揮でき、本や学用品、衣類など、お子さんに合わせてすっきり収納できる家を作れる時期でもあります。

逆にお子さんが独立してからの期間が長くなる可能性があるので、木造住宅の場合、将来壁を取り払うことができるように2室の間の壁を構造上の耐力壁にしない、というような工夫をしておくと良いでしょう。

納戸として使うと大変!?子ども部屋を個室として使う時に・・・

お子さんが小さいうちに子ども部屋を納戸として利用している家はとても多いです。でもこれはとても危険。その部屋が子ども部屋として必要な時期には、家族それぞれに持ち物が増えています。

子ども部屋が必要になったときに、物置場として置いてしまった持ち物を収納する場所が無い!と悩むことになります。今までもどうしたら良いでしょうか?という悩みを何度か伺ってきました。

そのため「有効利用する例」の中に収納部屋とする、という例を入れませんでした。

納戸から子ども部屋にシフトできる家の実例

お子さんが乳幼児のご家庭で将来的に子ども部屋にしようと思っている部屋の利用方法を考え、敢えて当分は納戸として利用できるようにして、かつスッキリ収納できる壁面収納を設けた事例もあります。

物を増やし過ぎないように一目で見られる壁面収納を設けました。

将来的には子ども部屋としても使える納戸

もともと物を平置きしがちだったそうですが、壁面収納内に高さを活かした収納ができるようになったので、部屋自体がすっきりしてお子さんが遊ぶ部屋としても使いやすくなったそうです。

将来お子さんの部屋になったときには、お子さんの持ち物を収納するためのクローゼットとして使うことも可能です。

実例を詳しく見る

アルミ扉の納戸収納 縦にコンパクトにすっきり収納できる壁面収納を設けた納戸

将来的にあまり子ども部屋のリフォーム費用をかけたくない

フリースペースとつながる子ども部屋

子ども部屋を有効利用したい。でも将来的にあまり子ども部屋のリフォーム費用をかけたくない

そのようなご要望も聞きます。私はリフォームをしたほうがより快適に過ごせるようになるのにな・・・と思いますが、子ども部屋に費用をかけるよりキッチンやお風呂に費用をかけたいという人もいるでしょう。

そのような人こそ、個室として子ども部屋を使う時期、それ以外の時期にどのような使い方をするかしっかり考えましょう。ひとつに決めてしまう必要はありません。何パターンか「こんな風に使うかも・・・」と考えたものが全て成立するようなドア・クローゼット・窓位置にしておけば良いのです。

多用途の部屋にしようとすると、「クローゼット」の位置がネックになることがあります。クローゼットがあることで色んな使い方ができなくなるのであれば、クローゼットを設けるより置き家具で収納できるようにした方が良いと私は思っています。

可動間仕切り収納家具を使うという方法もありますよ。

まとめ:子ども部屋をどう使うか家族で考えてみましょう

まとめ
  • 家を建てる時に子どもが乳幼児の場合は、子ども部屋を使い始めるまでの期間が長い。
  • 子どもが小学生以上であれば子ども部屋をきちんと作っておいた方が良い。
  • 将来的に子ども部屋の壁を撤去する場合は、間の壁を耐力壁にしない。
  • 家を建てる前に子ども部屋を個室として使う時期と使わない時期の活用方法について家族で考えましょう。
みゆう建築士
みゆう建築士

家づくりをするとき、リビングや家事動線について優先して考えることが多いので、どうしても個室について考えるのは後回しにしがちです。「とりあえず部屋を作っておこう」と考えてしまうと、うまく家具配置ができない、居心地が悪いなど使えない子ども部屋を作ることもあります。子ども部屋として使わない時期が意外と長いので、どのように部屋を有効利用するか家族で一度考えてみてくださいね!!

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