「床に物を置かずに済む生活がしたい!」
「ルンバ(お掃除ロボット)でスムーズに掃除ができるような家にしたい!」
リビングダイニングは広くてすっきりした空間にしたいと思いながらも、いつも過ごす場所だから物を置いてしまいがち。
床に物を置かない生活をしたい・・・というご要望をよくいただきます。
掃除をルンバに頼りたくても物を床に置いていたらその場所を掃除してくれません。家事を家電にサポートしてもらうためには、家電をフルに活かせる家にしておいた方が良いですね。
ここでは、主婦・母目線で住宅設計をしている女性一級建築士がデザインした、床に物を置かずに済むすっきり収納を設けた、吹抜けのあるリビングダイニングを紹介します。
片付けが楽で、床に物を置かずに済む家にしたい
「インナーテラスのある家」の建築主Nさまは、家を建てる前に「片付けが苦手」であることがお悩みでした。
新しく建てる家は「楽に片付けができる家にしたい」「床に物を置かずに済む家にしたい」というご要望を頂きました。
そこで、私がご提案したのは、座っていて、すぐに手が届くリビングダイニング収納、です。
ダイニングテーブル周りが片付けやすいリビングダイニング
リビングダイニングは広くしたい、変化に対応できるようにしたい、ということで新築時に家具を設けない家が多いようなのですが、私はダイニングに近接した収納こそ新築時にきちんと計画し、使いやすい造り付け収納をつくることを勧めています。
実際どの家に相談に伺っても、ダイニングテーブルの上には物が置いてあります。例えばリモコン、ティッシュボックス、新聞・雑誌・プリント類など。ペンやハサミなどを置いたり、カトラリーや調味料を置いたりしている家もあります。それが絶対に悪いということはないのですが、Nさまのご要望は「楽に片付けができる家」でしたので、まずはいつも過ごすダイニングで使うものをすぐに片づけられるカウンター収納をご提案しました。
ダイニングテーブルをL字に囲む収納家具
「インナーテラスのある家」のダイニング収納は、ダイニングテーブルをL字に囲むように配置されています。
壁側の収納には、文具、薬類、リモコンや充電などのこまごまとしたものは上段の引出しに、書類や本などは一番下の深めの引出しに入るように、収納するものに合わせて引出しの深さを計画しました。
腰までの高さの収納なので、ダイニングを囲む収納であっても圧迫感はありません。
キッチン横のパントリーは、すっきりした暮らしのための余白
ダイニングと一体の空間にあるキッチン。キッチン横の引戸奥にはパントリーがあります。このパントリーが「床に物を置かずに済む」工夫のひとつです。
床に物を置いていることに悩む方の家を拝見すると、バッグや本を置いている家が多い気がします。このバッグの定位置があると、床に物を置く可能性を減らせます。
パントリーなのでキッチン用品や食品のストックもできる空間なのですが、パントリー内に奥様用のデスクを設けています。書類を書いたり、持ち帰り仕事をしたりできるようにデスクをつくりましたが、実際はバッグや買い物したものを帰宅してすぐに置くのに使われていると思います。
急な来客時や、リラックスしたいときは扉を閉めておけばよいので、とっさに置いてしまうようなものは全てこのパントリーに持ち込めばOKです。「片づけなければ!」と自分を追い込み過ぎないように、ワーキングマザーの暮らしにゆとりをもたせた収納空間です。
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都市部だけれども、静かで落ち着くリビングダイニング
「インナーテラスのある家」は都市部の住宅密集地にあります。
隣地のお住まいが近接したゾーンにリビングダイニングがあるため、心地良いリビング空間をつくるために吹抜けを設けました。
近隣の住居が近接しているので、窓は少し高めの位置に設けました。目に近い部分の窓は半透明のガラスにして吹抜け上部の窓は透明のガラスにしています。上部の窓を透明にしているので月が見えることもあります。窓の位置が高いので床に近い位置は少し囲われた雰囲気を感じることができ、都市部とはいえ静かで落ち着いた空間を作れています。
空間を広く感じさせ、LDKの統一感を出す造作家具
造作家具はキッチン内部が見えないように少し高めの家具にし、キッチン背面収納もリビングダイニングの家具と同じ面材にしています。扉はシナを白で着色、カウンターはリビング部分はゴム集成材、キッチン部分は白の人工大理石を使用しています。
素材に統一感があるのでLDKの家具に連続性があり、空間が広く感じられます。
オリジナルの造作家具が便利で収納力がある理由
働くお母さんが、片付けがしやすいように。仕事も家事も済ませてゆっくりする時間にはすっきりとしたリビングで過ごしてほしい。
そのため、手に届くところにすぐに片づけられる「究極の片付けやすい収納」を作りました。
空間の広がりを感じるように、足元をあけて間接照明を設けています。造作家具は腰高でジャストサイズなので空間を広く感じさせています。
テレビの配線がごちゃごちゃしないテレビ台
テレビのコード類がごちゃごちゃするのが嫌!という人は多いと思います。
「インナーテラスのある家」のリビングダイニングのテレビ台には、ブルーレイなどの機器を置くキャビネット内の配線をすっきりさせるために内部に棚を設けています。ガラス扉の框部分で見えない部分に棚があるので、その下にケーブル類をすっきりおさめています。配線ルートなどはご主人と一緒に考えました。また、テレビへの配線ケーブル用の穴は2つ設け、テレビ転倒防止のワイヤーを通せるようにしています。
テレビ台は上下に間接照明が埋め込まれているので、間接照明を灯して落ち着く空間にすることも可能です。
跳ね上げ式テーブルのあるキッチンカウンター下収納
オープンキッチンのカウンターにダイニングテーブルをぴったり寄せてしまうとカウンター下部に収納があっても使えない、という悩みもよく聞かれます。「インナーテラスのある家」のキッチンカウンター下収納には、テーブルを寄せて収納が使えなくなる場所に、跳ね上げ式テーブルを設けました。
来客があった時用にエクステンションテーブルに変えるか悩まれていました。そこで、お手持ちのテーブルのサイズ、高さに合わせた跳ね上げテーブルを、キッチンカウンター収納に組み込んだのです。
ガスコックやカトラリーボックスも組み込まれた収納
跳ね上げ式テーブルの上部収納スペースにガスコックが隠れています。ダイニングでお鍋や焼き肉、たこ焼きなどをするために、このガスコックを使うことが可能です。
隣にはカトラリーボックス付きの引き出しもあります。カトラリーボックスごとダイニングテーブルに置くことも可能ですし、引出しからすぐにお箸類を取り出すことも可能です。
下部の開き戸収納は使う場所を考えた扉の開閉に
ルンバの定位置(ホームベース)が家具の下にあるのですっきり
ダイニング収納は軽やかな印象を持たせるために足元をOPENにしているのですが、このスペースを利用してルンバ(お掃除ロボット)のホームベースを置けるようにコンセントを設けました。
ルンバを置いておくとホコリがたまったり、その存在が空間に生活感を感じさせたりするので、隠せるルンバ置場、ルンバの定位置はとても喜ばれます。
床に物を置かずに済む、たっぷり収納のリビングダイニングなので、ルンバも大活躍して家事負担を減らしてくれますね!
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