ランドリールームとしての家事室の作り方

ランドリールームとしての家事室の作り方

「家事室が欲しい」という要望に対して詳しくヒアリングをすると、最近はランドリールームとしての家事室を望む人が多いです。十数年前はキッチン付近に設けた書類を書いたりパソコンを使ったりできる主婦向けの空間が家事室と言われることが多かった気がします。

家事室とは何か?という記事でも書いているのですが、家事室とはリラックス空間と家事をする空間を分けるためのものであり、人によってその空間で行う家事は異なります。

ランドリールームとしての家事室が欲しい場合も洗濯物を畳むのがメインの目的の家事室なのか、洗濯物を洗って乾かすのが目的の家事室なのかによって、場所や広さ、窓配置、必要な収納が変わります。

あなたが必要としている家事室は、どのような家事をする部屋ですか?

ランドリールームとしての家事室

今回はランドリールームとしての家事室に限定して、今まで要望のあった家事室のスタイルについて紹介します。

洗濯という家事には「洗う」「干す・乾かす」「畳む・アイロンがけをする」「収納する」などの作業があり、その家によってハンガーやタオル干し用のラック、物干し竿などの道具が必要になります。

自分がよく使う道具を思い浮かべ、家事室で何をしたいのか考えてみましょう。

家事室で室内干しがしたい

主に室内干しをするための家事室が欲しい。この場合は私ならある程度日当たり、風通しが良い家事室を提案します。どうしても水回りは北側になりがちですし、1坪程度の室内干し用家事室しか作れないケースも多いと思うのですが、衣類乾燥機を使わずに自然乾燥をさせる場合はやはり日当たりが良い方が衣類が乾きます。

また、室内干しをするときにはホコリが落ちるので、掃除道具も近くに収納できるとより良いと思います。

インナーテラス内の収納にストック品、洗濯用品、掃除用品
南側のバルコニーに面した室内干しスペース

室内干しをする家事室を作る時には下記のような点に気を配っています。

洗濯物の量に合わせて、家事室の広さを決める

インナーテラスのある家のバルコニー

室内干しメインの家事室を作る場合は、室内干しする衣類の量から家事室の広さを決めます。

今1日分の洗濯で干している洗濯物の量を、余裕をもって干せるだけの広さが必要です。今干している洗濯物のスペースをメジャーで測ってみると分かりやすいですね。

1回の洗濯物が10kgを超えるようであると、日当たりの悪い2帖程度の家事室の場合、自然乾燥では乾きにくいかもしれません。その場合は除湿機を使えるようにしておくことをおすすめします。

除湿機やサーキュレーターを使用する

日当たりの良し悪しに関わらず、雨の日や冬場はどうしても室内干しだと洗濯物は乾きにくく、生乾きの臭いが気になります。

乾きにくい日を想定し、室内干しメインの家事室には除湿機やサーキュレーターを置く場所、コンセントの設置を促しています。洗濯物の間に風を流してあげると乾きやすくなるので、干している衣類の間に風を通せるような位置にサーキュレーターを置けるようにコンセント配置をすると良いでしょう。

また、それらの機器を使わない時に収納できる場所もあると安心できます。

室内干しメインの家事室に設けた、サーキュレーターを片付ける場所

洗濯物を干すための道具を収納

室内干しメインの家事室をつくる時には、ハンガーなどの洗濯物を干す道具を収納できる場所もあると安心できます。

室内干しだけをする場所であれば、物干し竿に引掛けたままでも良いのかもしれませんが、その場所で洗濯物を畳んだりアイロンがけをしたりするときはハンガーがじゃまになることも。道具を片付けるのは面倒だな、そのまま出しっぱなしにしておきたいな、と思う人の場合は、物干し竿の高さや引掛けているハンガーの高さで他の作業がしにくくならないように計画すればOK。

そのような点でも家事室は「洗濯物を室内干しするだけの場所」なのか、「洗濯物を室内干しして、他の作業もする場所」なのか事前に考えておくことをオススメしています。

洗濯物を干す道具が収納できる家事室

家事室で洗濯物を畳みたい

「洗濯物を畳む」「アイロンがけをする」という作業をメインにランドリールームとしての家事室を設けたい、というケースもあります。

  • 洗濯物は基本的に外干しで、洗濯物を取り込んだ場所の近くに畳むための場所を設けたい
  • 衣類は基本的に乾燥機を使って乾かすのでハンガーにかけたり畳んだりする場所を設けたい

というケースです。

家事室の洗濯物を干す場所

そのような家事室の場合は作業用のカウンターやアイロンなどの道具の収納に重きを置いて計画します。

立って洗濯物を畳みたい人は立って作業のしやすい高さ(90cm程度)、座って洗濯物を畳みたい人は椅子に腰かけて作業がしやすい高さ(70cm程度)のカウンターを設けると良いでしょう。その場に室内着やタオル類を収納したい場合は、90cm程度の高さの市販のチェストでOKです。

洗濯物を畳むときにテレビを見たい、音楽聞きたい、という人もいますね。スマホやタブレットで動画を見ながら、音楽を聴きながら洗濯物を畳む作業ができるのも良いと思います。上の写真の事例では、カウンターで作業をしながら屋外の景色が見えて、お気に入りの照明が見えます。少しでも気持ちが上がる!ようにしておくことで、面倒だなと感じる作業も心理的な負担が減るようです。

洗濯機横は洗濯道具やアイロンなどを置ける収納棚と作業ができるカウンターがあります。

何のための家事室が必要なのか

以前、間取り相談の際に「日常着を収納して置いたり、アイロンがけをしたりできる家事室が欲しい」という要望がありました。この方の場合、日常着を収納するということが主目的で、この部屋で室内干しをする考えは全くありませんでした。

衣類を管理するための家事室

このようなケースは家事室と言うよりもファミリークローゼットと言う方が適しているのかもしれません。この相談者さんが思う「家事室」とは何かを掘り下げたから分かることだったのです。

家事室という要望があった場合、私は必ず「何のための家事室が欲しいと思っていますか?」と質問します。ランドリールームとしての家事室の場合でも、洗濯物の干し方、乾かし方の違い、洗濯機を置くか否かによってその空間の作り方は変わります。

まとめ:ランドリールームとしての家事室のつくりかた

まとめ
  • 何の作業ができる家事室にしたいのか考える
  • 室内干しをする家事室の場合、乾くための広さ、日当たり、除湿機の設置を考慮する
  • 洗濯物を畳む家事室の場合、作業台となるカウンターを設置
  • 洗濯物を干す道具、アイロン、除湿機や掃除道具などを収納できるスペースを確保するとより良い

ランドリールームとしての家事室があると家事が楽になりそう!と思いがちですが、広さが適切でない、収納が確保できていない、うまく乾かない・・・というような家事室だと家事ストレスが増す可能性もあります。あなたが何を目的に家事室が欲しいのか、しっかり考えておけばきっと洗濯が楽になる家事室が作れると思いますよ!

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