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「家事が楽になる間取り」で検索してみると、良い間取りがたくさんあるのですが、家事動線が短いけれど使いにくなという感じる間取りもあります。
動線を単なる「移動の距離」として考えてしまうため、動線の短い間取りが家事がしやすいと錯覚してしまうのです。「家事動線が短い」という表現で紹介されている間取りも、実際に使ってみると不便だったということがあります。これが「家事ラク間取りの落とし穴」です。
家事動線が短い間取りに見えるが、意外と不便な間取り
キッチンから洗面所に直接入れる間取りを「家事動線が短い間取り」 と表現することがよくあります。「キッチンと洗面所が近いと家事をする場所同士が近くなる。」そう思われていますが、実際キッチンでする家事と洗面所でする家事の連動性は高くありません。
キッチンと洗面所、一日に何往復していますか?
家事が楽になるようにキッチンと洗面所が近い方が良い家にしたい、という人も多いのですが、その時に「キッチンと洗面所、頻繁に往復しますか?」と聞きます。
洗面所でお化粧をしながら、朝食の準備や朝の準備をするので何度も行き来します!
Aさんのように、キッチンと洗面所を何往復もする人の場合は洗面所とキッチンは隣り合うほうが良いですね!
私は洗濯をドラム式の洗濯機で乾燥までしてしまうので確かにあまり洗面所とキッチンの間は往復しないかもしれません。朝もお化粧はリビングでしてしまうので、洗濯機を回して顔を洗ったらしばらく洗面所には行っていないかも。
Bさんのように、キッチンと洗面所との間をそれほど往復しない人の場合はキッチンと洗面所の距離より、料理という家事と洗面所で行う家事それぞれが楽にできるほうが良いですね。
キッチンで行う家事と洗面所で行う家事の連動性はあまり高くない
キッチンと洗面所が近いことで家事が楽になることといえば・・・
- キッチンで使うタオルを洗濯に出せる
- 夜ご飯を作っているとき、片付けているときに、お風呂に入っている子どもの様子が見られる
- 洗濯機が止まった瞬間が分かる
他にもあるかもしれませんが、あまり多くないのですよね。キッチンで作業をしているときにはお風呂には入らないという人も多いでしょうし、洗濯が終わった瞬間がすぐに分からなくても良いのかもしれません。
つまり、キッチンで行う家事と洗面所で行う家事はあまり連動性が高くないので、キッチンと洗面所が近接するよりもキッチンで必要な家事がキッチン回りでできること、洗面所で行う家事が洗面所近くで行えることの方が家事ラクな動線になるのです。
【失敗例】キッチンと洗面所間の動線が短いことで収納が不足する
動線が短いことでデメリットになりがちなのが「収納が減る」ことです。回遊できる間取りはとても家事ラクなように見えますが、その分収納が減っていることに気づかない人も多く見られます。
洗面所のメイン入り口がキッチンからそう遠くないのに(そう、多くは隣り合っているんですよね)、キッチンから直に洗面所に入れるドアがある。そうすると・・・その分、収納力が落ちる。マンションでこの間取りがよく見られます。
「家事ラク動線の家」と謳って、その動線の短さをアピールする広告もありますが動線の短さと収納量を比較して判断しましょう。動線以上にキッチン単独での家事「料理」、洗面所単独での家事・育児「洗濯」「子どもの入浴」などの機能を満たす収納がある方が便利なのです。
家事ラクなのは「動線」だけでなく、必要な収納がその場にあること
実際に「回遊性のある動線」や「家事動線の短い間取り」に対して「収納が足りない」と相談を受けることは少なくありません。家事動線を短くすることがデメリットになる家もあるのです。
必要な場所に必要な収納があることも「家事動線の短い間取り」です。例えばキッチンと洗面所が近いという意味合いでの「家事動線が短い間取り」「回遊できる間取り」が、あなたにとってどれくらいメリットあるのかを考えて間取りを決めましょう。
朝料理をするときにちょっとした隙間時間を狙って洗面所でお化粧をする、という人には洗面所とキッチンの距離は近接していたほうが良いのです。大事なのは「あなたにとってその家事動線が家事ラクになるのかどうか」を考えることですね!
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家事動線の良い間取り実例
家事動線が短く、回遊できて収納も充実している「これぞ!家事動線の良い間取り」の実例を紹介します。
【実例】キッチンと洗面所が繋がって便利な間取り
キッチンと洗面所が近くて繋がっていて、家事動線が短くて便利な間取り事例です。
キッチンは壁向きであり、キッチン奥の中央引戸からパントリー、さらに奥には洗面所・洗濯室があります。パントリーには収納・マルチシンク・勝手口があり、土間があるのでゴミの一時置きやゴミ出しも楽にできます。この動線がリビング側から見える位置ではないのも長所。バックヤードが一列に並び出入り口によって減る収納もありません。洗面所には2か所入口があるので、廊下からも直に洗面所に入れる回遊できる動線の間取りです。
【実例】回遊できるウォークインクロゼット
廊下からも寝室からも入れる回遊できるウォークインクローゼットです。
寝室から見た写真ですが右側の扉がウォークインクロゼットの扉です。このウォークインクロゼットは、寝室からだけではなく廊下からも入れます。2階で干した洗濯物を階段上のウォークインクロゼットにすぐに収納できます。
ご主人のための書斎スペースが寝室の隣に。お仕事を持ち帰って自宅で作業をされる時、集中してクローズしたいときは寝室への行き来にウォークインクロゼット内を通ることが可能です。
扉がある分少しだけ収納スペースが減るのですが、減った収納スペースよりも衣類の片付けのしやすさが優位に立っているので、このケースでは動線が短いことがメリットとなっています。
【実例】収納ゾーンが一列に並ぶ間取り~シューズクローゼット・パントリー
収納ゾーンを一列に配置すると収納ロスが減ります。「都会の小さな森の家」は、玄関から入ってシューズクロゼット、洗面台、キッチンパントリー→キッチンと繋がる間取りです。
帰宅時にシューズクローゼットでバッグやコートを置き、手洗いで手を洗い、パントリーでストック品や食品を収納する。とてもスムーズな家事ラク動線の家です。
【実例】キッチンと遠くても便利な洗面所
キッチンと洗面所が近い方が良い、という人も多いですが、キッチンは1階、洗面所は2階にすることで洗濯に関連する作業がとても楽になるケースもあります。
洗濯物はバルコニーで干す人も多いですからね!洗濯物を干す場所と洗う場所、片付ける場所が近いと家事がとても楽になります。この洗面所は洗面所内で室内干しができて、浴室で浴室乾燥機を使った室内干しもできて、近接したバルコニーで外干しもできて、洗面所の隣にあるウォークインクローゼットに衣類の片付けができます。洗面台のカウンターが広めなので衣類を畳む作業もできる、家事動線の良い間取りの洗面所です。
まとめ:家事動線が短い=家事がしやすい間取りにする
実際、家事動線が短いと家事はしやすくなります。
ですが、その家の間取り、配置によっては収納を減らしてしまうこともあります。
収納が減ることと家事動線の短さを天秤にはかって、どちらがその家の暮らしにとってふさわしいのか、また、他に代わりとなる収納を設けることができるのか、メリットを最大限活かせる間取りを選びましょう。
- 回遊できて、家事動線が短い間取りの場合、収納が不足しないか確認する
- 収納ゾーンは横一列に並ぶと便利
- 「家事動線が良い」理由を見極めて、その動線の短さが自分にとってメリットか考える
家事動線の良い家にしたい、という思いで収納不足になってしまったら困りますね!まずは自分たち家族がどのような家事の仕方をしているか、新しい家でどんな家事の仕方にしたいか考えると良いと思います。
この記事で紹介したみゆう設計室の設計事例