「オープンキッチンよりも料理や片付けに集中できて、片づけやすいキッチンが良い」
「壁付のキッチンなら、おしゃれな壁に向いて料理を楽しみたい」
という思いをお持ちだった「都会の小さな森の家」のM様。
ワーキングマザーの料理への考え方は二通りあります。
ひとつは、料理をする時間や片付けをする時間も子どもと過ごす時間として大事なので、リビングダイニングと広く繋がるキッチンが良いという考え方。
もうひとつは、できるだけ料理をする時間、掃除や片付けをする時間が短縮できて、片づけられない時もある程度丸見えにならないキッチンが良いという考え方。
「都会の小さな森の家」の場合は後者で、とにかく調理も片付けも短時間で一気に済ませられるキッチンが良いとご希望でした。
壁付のキッチンを活かす間取り
壁に向いたキッチンは開放感が無い、家族から孤立した印象になる、と言われることが多く、最近の建売の住宅や分譲マンションではほとんどがリビングダイニングの方を向いたオープンキッチンであると思います。
では、壁付のキッチンにはどのようなメリットがあるでしょうか。
1)コンロで調理した汚れや水はねが、壁で止まるので掃除がしやすい
2)レンジフード(換気扇)の吸込みが良くなる
3)壁に棚を設けて置いたり、バーに引掛けた片付けができる
この3番目の「壁を活かした収納をしたい」という方も増えています。
壁付のキッチンが孤立した印象にならないように、ダイニングとの距離感を考えるのも大事です。
IKEAのウォール収納を使い、シンク横に洗い物ツールを片付け
「壁を活かした収納」として、シンク側はIKEAのキッチンウォール収納、KUNGSFORS(クングスフォルス)のステンレスレールとレールに引掛ける棚を使用しました。細めのパイプですっきりしていて安価なので、とても喜ばれました。
キッチンカウンターの上に洗剤類を置くのはすっきりしないので抵抗があると言われていたM様。パイプに引掛けた棚の上に洗剤を置いているので、汚れたら棚を外して洗えば良いですし、日常のキッチンカウンターはすっきりしています。
いつも使用するゴム手袋もおしゃれに引掛けています。
このキッチン横の壁があることでダイニングからの開放感は減るのですが、生活感のある洗剤類が見えないのがメリットです。
コンロ横にはキッチンツールを引掛ける収納
コンロ側にも同じ、IKEAのキッチンウォール収納、KUNGSFORS(クングスフォルス)のステンレスレールを使用し、こちらにはレードルやフライ返しなどのキッチンツール、お鍋などを引掛けて収納しています。
良く使うものはすぐ手の届くところに引掛けて片付けると、次に使う時も楽ですね。
窓を活かして、キッチンツールをOPEN棚に飾る
キッチンが北側にあるので、明るさを少しでも確保するためにキッチン正面壁に細長い窓を設けました。この窓の窓台の奥行を深くして、キッチンツールを置けるようにしました。
お気に入りのポットやマグ、コーヒーセットはこの窓台に。窓の上に白マットのブラケット照明があるので、キッチンツールも照らされて、お気に入りのものを見ながら料理を楽しんでもらえます。
壁付のキッチンが孤立しない配置
この壁を向いたキッチンがリビングダイニングから孤立しないのは、ダイニングテーブルから1、2歩程度の距離でキッチンで作業ができるからです。その距離感が心地良いキッチンなのです。
むしろキッチンが丸見えにならず、料理や片付けに集中できて喜ばれています。
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片付けやすく、使いやすいキッチンの収納とは
「都会の小さな森の家」のM様とはキッチンの使い勝手についてかなり意見交換をしました。とてもシンプルなキッチンですが、収納の仕方を考えて寸法を決めたキッチンです。
このキッチンが片付けやすい理由は4つあります。
1)使用頻度に合わせて、収納する場所を分けられるキッチン
2)使いたいキッチン収納ツールのサイズに合わせた収納
3)片付けが楽になるOPEN収納を取り込む
4)たくさん収納できる自由度の高いパントリー
使用頻度に合わせて、収納する場所を分けられるキッチン
家事をする場所では、使用頻度に合わせて収納を分けられると使うのも片付けるのも楽になります。
もともと持ち物を厳選されていたM様ですが、キッチン側には一番使うツールを、食器類などはキッチン背面収納に、食品ストックは奥のパントリーに収納できるようにしてあります。
取り出しやすい位置から優先に使うものを収納する、一軍の収納、二軍の収納というように使いやすさ優先で収納をデザインしています。
使いたいキッチン収納ツールのサイズに合わせた収納
引出しに収納するものを考えたときに、IKEAの竹製の包丁差し、VARIERA(ヴァリエラ)を使いたいとM様からご希望を頂きました。IKEAのカトラリートレイボックスは、日本のキッチンに比べて深めの引出しに合わせています。最初にキッチンをデザインした時はこのトレイが入らない奥行だったので、包丁差しのトレイがきちんとはいる奥行で引き出しを作っています。
片付けが楽になるOPEN収納
キッチンの一番片付けやすいゾーンであるシステムキッチン側には、よく使うものを楽に収納できるように工夫をしています。
シンクの下には引き出しや扉を設けずOPENに。
片付けや取り出しの動作とキッチンのお掃除のしやすさを考えて、最下段は高さのあるお鍋などを置くだけ。
中央にはワイヤーバスケットのスライドトレイを使用しています。ザルやボウルなどはここに。最上段にはまな板を置けるようにしてあります。OPENで風通しも良いので収納後に乾かすことも可能ですね。
たくさん収納できる自由度の高いパントリー
「都会の小さな森の家」のキッチン奥にはパントリーがあります。キッチン側から取り出しやすいように手前側は開き戸、奥は引き戸の収納にしてあります。
普段あまり使わない大きなお鍋や器、ストックの食材などをパントリーに収納できることで、キッチンの一番収納しやすいゾーンによく使うものだけを収納できます。
おしゃれですっきりとしたキッチン
グレーの壁と床タイルのキッチン
キッチンの壁はグレーのタイルを貼りました。お気に入りのタイルを見つけるまでに時間はかかりましたが、イメージにぴったりのタイルを探すことができました。
キッチン正面壁の窓は西側の窓なので、大きな開口にはせず、窓下にキッチンツールを飾れるカウンターを設けました。
過去に製作したキッチン背面収納を活かす
キッチン背面収納は過去にみゆう設計室がデザインしたもので、この家具を使うことを想定して間取りを考えました。
使い慣れているキッチン背面収納なので、キッチン側に収納する「一軍(最も良く使うもの)」を考えたキッチン計画ができました。
玄関からアプローチできるパントリー収納
キッチンの奥にはたっぷり収納できるパントリーがあります。扉のある可動棚収納です。あまり広いスペースではないので引戸中心にしています。
可動棚収納の反対側には階段下収納があり、掃除機やストック品を入れることも可能です。
パントリーはシューズクロゼット、手洗いと並び、玄関から直に入ることができ、リビングダイニングに買い物したものを持ち込むことなく、すぐに収納できるのも魅力です。
買い物から帰ってすぐに収納できますし、キッチンにたくさんのものを置かずに済むので、キッチンがとてもすっきりした空間になります。一目で収納の中身が見えるので、ストック品の無駄買いも避けられます。
「都会の小さな森の家」のような家を建てるには
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