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家事室って何をする場所?
「家事室は主婦のための部屋」という考えは既にひと昔前のもの。今の家事室は家族が皆で使う、家事負担を減らすための「家事室」です。
かつてはご主人の個室は「書斎」で、主婦の個室が「家事室」と呼ばれていた時期があります。その表現を疑問に感じる方も少なくないと思います。私もその部屋名の考え方に違和感を感じていたことがありました。でも「家事室」という表現も使われ方も時代と共に変わっています。
では、そもそも家事室って何のための部屋なのでしょうか。
「家事室」の歴史
今まで「家事室」とはどんな部屋として扱われていたか振り返ってみます。
私が学生の頃、建築雑誌などで学んだ古い住宅の間取りには「家事室」という部屋名が書かれていました。古い時代の「家事室」はお手伝いさんが家事という仕事をする部屋という意味合いもありました。
その後、主婦のためのスペースとして「家事室」というワードが再び使われるようになりました。2000年以降、ミシンやアイロンを使う場所であったり、家計簿をつけたりパソコンを使ったりする小さな部屋のことを「家事室」と表現する傾向がありました。
最近の家事室は、ユーティリティと言われることも多いですが、洗濯に関連する家事(洗濯、部屋干し、アイロン、ミシン、衣類管理など)ができる部屋のことを言うことが増えてきている気がします。
50年ほどの間に家事をどんどん機械に頼れるようになり、今も家事のスタイルが年々変化しています。つまり「家事室」の発想も変化していくものなのですね。
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今の「家事室」はリラックス空間と家事を分離するための部屋
今の「家事室」は、日常を過ごすリビングダイニングなどのリラックス空間と、家事を分離するために設けられる部屋のことを言うことが多いです。つまり、今の家事室はシンプルに「家事をするための空間」と考えると良いと思います。
例えば洗濯物をリビングで部屋干しして、リビングで畳むことを考えてみましょう。リビングに洗濯物のホコリが落ちます。さらに洗濯物を片付けるまでリラックス空間が片付かない部屋になります。
つまり、家事機能を集中させた部屋があることで、リビングダイニングなどの掃除や片付けが楽になるのです。
リラックス空間と分離したい「家事室」の機能
リラックス空間にも必要な家事は掃除・片付けです。また料理をするキッチンもリビングダイニングと一体の方が好まれます。
それではリラックス空間と分離したい、家事室に集中させたいこととは何でしょうか。実際に分けたいと言われた事例をあげてみましょう。
- 洗濯→洗濯、物干し、アイロン、ミシン、衣類管理まで
- 片付け→リビングダイニングをすっきりさせるための収納ターミナル。ストック品の収納など。
- 書類整理→家計簿、レシート管理、重要書類管理など
- 掃除→掃除道具の収納
洗濯だけの部屋として作られがちな家事室ですが、料理や掃除以外の家事が全部できる部屋にしても良いですよね!その場合少しスペースを広くして日当り良い部屋にしてもよいかも。
「家事室」に何を求めますか?
それではリラックス空間と分けた、家事をするための空間を「家事室」と定義した時に、あなたなら「家事室」に何を求めますか?そして、何のための場所を家事室としますか?
- リビングダイニングなどと分けた家事空間
- 家族誰もが家事がしやすい空間
- 家事が捗り居心地良い場所であること
- 片付けやすい場所(収納として集中させた場所)
- 掃除がしやすくなる場所(掃除関連の道具置き場など)
家事室があると家事が楽になる!と言われますが、何の家事のための部屋か考えないと家事室の意味が損なわれます。
多くの人は「洗濯に関連する家事をする部屋」を「家事室」と言うことが多いので、洗濯の「家事室」を作る場合は干すための部屋なのか、畳むための部屋なのか、衣類収納までする部屋なのか、家事室を作る目的を考えてみましょう!
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「家事室」の実例
それではみゆう設計室の「家事室」の事例を紹介します。
家事室として部屋を完全に分離しているものより、家事空間、ワークスペースとしてフリースペースを使えるようにしている事例が多いです。
【実例:洗濯】アイランド洗濯機のある家事室
「森を望む家」には洗面所に洗濯に関連する作業ができるカウンター、室内干しスペース、すぐ隣にファミリークローゼット、近接して掃除機置場や充電を集中させたスペースがあります。
洗面所を広くした「家事室」です。
作業台(洗濯物を畳む、仕分けする、アイロンがけをする)があること、衣類を簡単に片づけられる収納が近接していること。洗濯に関連する道具がすぐ近くに片付けられること。そのような間取りの家を作ると洗濯が楽になります。
洗濯物を畳むのが楽になるカウンターがあり、かつ森の風景も見られる心地良い空間です。家事室が心地良い空間であると家事が捗ると言われています。
【実例:洗濯】バルコニーと隣り合う室内干し空間~インナーテラス
「家事室」として一番必要とされるのが、洗濯に関する一連の家事を集中させる空間です。洗濯は作業の多い家事です。
- 洗濯物を仕分けして洗濯機に入れる
- 洗濯機で洗う
- 洗濯物を干す(洗濯機等の乾燥機能を使い乾かす)
- 乾いた洗濯物を畳む
- 畳んだ洗濯物、ハンガーにかかった洗濯物を片付ける
バルコニーがリビングに隣り合っている間取りだと、リビングで洗濯物を畳む人も多いでしょう。また日当たりも風通しも良いのでリビングで部屋干しをする家も多いと思います。でも、洗濯物が片付かないと家が片付かない、という状況にもなりがちですし、洗濯物からホコリも落ちます。
そこで洗濯の一連の作業ができ、小さなお子さんには触ってほしくないミシンやアイロンなども使える「家事室」があると便利です。
「インナーテラスのある家」の室内干しスペースは、洗濯に関連する一連の家事動作が完結する家事室です。この室内干しスペース、洗濯物を洗面所の洗濯機から直に取り出すことが可能です。バルコニーと隣り合っているので外干しもOK。
ここには洗濯を干す道具も収納できますし、掃除機やストック品も収納しています。タオルなどをすぐに収納できますし、日常着などは洗面所内の家具に収納できます。洗面所内には作業カウンターがあるので、畳む作業もできます。床暖房が入っているので冬場の作業も苦痛ではありません。
さらに室内干しをしていない時は日当たりの良い自由な空間になります。お子さんがおもちゃを持ってきて遊んでも良い、快適な空間です。つまり、洗濯物を干すときにお子さんが近くにいても安心できる空間でもあるのです。
【実例:洗濯】楽しい「家事室」~洗濯ができるフリースペース
私自身ができることなら楽しく家事をしたい。
そういう思いを活かして、どんな空間だったら家事が楽しくなるのか考えます。
家事をするための場所が「狭く」「条件の良くない部屋」であると、家事をする気持ちが盛り上がりません。そのため家の中の心地良いゾーン(日当たりが良い、風通しが良いスペース)に家事室をつくった事例が「柚子の実る家」です。
「柚子の実る家」は2階にあがって個室に入る前の勾配天井の広いスペースをワークスペース(洗濯ができる家事室)としています。
カウンターから見える景色は緑豊かで、風通しよく、明るく、アイロンがけをしているときも、洗濯物を畳むときも心地よいのです。そんな場所で家事ができると、苦手な家事も楽しめると思うのです。今まで狭い洗面所で洗濯物を扱っていて苦痛だったけれども、この空間ができて洗濯をするのが楽しくなった、と奥様が言われていました。
【実例:キッチン】「書斎的なスペース」である家事室をキッチン付近に
キッチン横にデスクのある家事室が欲しいという要望もあります。家計簿やネットショッピングのためにPCを使ったり、学校や幼稚園・保育園などの書類やレシート管理したりできるデスクです。
パントリー内に設ける事例もありますが「森を望む家」の場合は、キッチンに奥様用のワークスペース(書斎的なスペース)を設けました。
家に持ち帰った仕事ができるようにプリンターとパソコンを置き、壁にはレシートをストック。ここに仕事用のバッグを置くことも。
なぜキッチン?という感じはするかもしれませんが、料理の合間に仕事をする、奥様にとっては家事も仕事も「ワーク」であり、その「ワーク」の時間を短縮するための方法なのだそうです。ライフスタイルの中の「ワーク」を考えた間取りです。
つまり、暮らしの中での「ワークゾーン」を自分仕様に集中させる。これが便利な「家事室」「家事空間」「ワークスペース」をつくるコツなのだと思います。
「ワークスペース」のひとつが「家事室」である
ちなみにみゆう設計室では「書斎」も「家事室」も、お子さんが学習に使うファミリーデスクのある空間も「ワークスペース」としています。
つまり「家事室」は「ワークスペース」のひとつと考えられます。
家族みんなが使うワークスペース
住まいの中の「ワーク」を「仕事」や「勉強」に限定せず、「家事」や「DIY」などの家を機能させる作業の場も確かにワークスペースなのです。
今では夫婦共働き家庭も多いですし、奥様が仕事部屋を必要とし、ご主人が家事をする家庭も増えています。ワークスペースは、だれが何のために使うかという意味は固定しなくてもOKなのです。
家事も仕事も勉強も、親がしてもいい、おじいちゃんおばあちゃんがしてもいい、子どもがしても良いものです。
もちろん家族で役割分担をするとしても、誰のための空間と決めていても、誰もが使えるのがワークスペースなのだと思います。
家事も家族でシェアをする
家事をする奥様を中心に家事の仕方を考えた家づくりをすることは多いのですが、実は主婦一人が使いやすい部屋を極めるのではなく、何がどこに収納されているか明確であり、誰が家事をしてもそれほど負担のない家にしておくと、家族が自然に家事をするようになる、と言われています。
- 何がどこに収納されているか明確
- 誰でも簡単に家事ができる工夫
- 片付けが大変ではない
つまり、家事室も家族みんなでシェアできる部屋にしたいですね!
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まとめ:暮らしが楽しくなる「家事室」をつくる
「家事室」というと、家事を頑張らなければいけない部屋をイメージしますが、居心地の良いリビングダイニングなどと分けた「家事を楽しむ場所」と思って作ると、もうひとつの居心地の良い、生活の質を上げる空間が生まれます。
- 「家事室」は家事機能を集中させた部屋に。
- 暮らしの中での「ワーク」を自分仕様に集中させる
- 「家事室」は家事を楽しむ場所!
「家事室」のスタイルも自分たちの暮らしに合わせましょう。ライフスタイルの変化に合わせて変えてもOK!もっと自由に家事室を考え、まずは家族にとっての楽しい「家事室」を作りましょう!
この記事で紹介したみゆう設計室の設計事例