片付けやすい家のつくりかた~収納は量より質!!「使いやすい収納」で家事ラク間取りの家に

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使いやすい収納で片付けやすい家に

住まいの悩みを伺うと、大半の方が「収納が上手にできない」、「収納する場所が無い」と言われます。家事がしにくい家、家事動線が悪い家だと思われている家も、収納が原因であることがほとんどです。

収納が上手にできない一番の理由は、収納すべき場所に収納するスペースが無いから。片づけたいものが収納スペースに合わないことも原因の一つです。

実は、収納スペースが多ければ片付けやすい家になるわけではありません。量より質!!なのです。「使いやすい収納」を作ってこそ、片づけやすい家になります。

ライフルホームズはじめての家づくりノート

1 使うものを、使う場所の近くに収納する

「使うものを、使う場所の近くに収納する」

これは片付けやすい収納の、基本中の基本です。

今使ったものをすぐに片づけられる。動作に負担を感じなければ、習慣が身につくはずです。

ゴミ箱に引掛けるゴミ袋を、ごみ箱の底(今引掛けている袋の下部)にいくつか入れておく、という家事テクニックを聞いた時に、それは賢いアイディア!と思いました。使う場所からすぐに取り出せる場所に収納してあれば、使う時にとても楽なのです。

それでは、空間別に「使うものを、使う場所の近くに収納する」事例を紹介します。ひとつめはダイニング、ふたつめは洗面所の事例です。

ダイニングテーブルの近くに設ける収納

ダイニングに隣り合う便利な収納
みゆう建築士
みゆう建築士

「インナーテラスのある家」のダイニングは、ダイニングチェアに座ったままでもすぐに手が届いて片付けができるダイニング収納を設けています。

インテリア相談や家づくりの相談に行くと大半の家のダイニングテーブルには本、書類、新聞、テレビのリモコン、ティッシュボックスなどが平積みで置かれています。特にキッチンカウンターにテーブルを寄せている時のカウンター下部。 驚くほど、多くの家で見られる光景です。

それは、手に届く場所に物を置いてしまう、からなのです。

つまり、ダイニングをすっきりさせたいのであれば、テーブル周辺によく使うものを座ったままでも片づけられる収納を作れば良いのです。すぐ手に届く収納であれば片付けられますね!

ダイニングテーブルに置きがちなもの
  • テレビやエアコンなどのリモコン
  • 新聞、雑誌、書類、本
  • ティッシュボックスやお手拭き(ウェットティッシュ)
  • スマートフォンなどの充電器

家事が苦手、片付けが苦手である人こそ「使う場所に、片づけられる収納がある」という収納計画が必須になります。

洗面所こそ「使う場所の近くに収納」ができると便利!

洗面所は一坪タイプと言われる「洗濯機と洗面化粧台が横並びの一坪空間」が多く見られます。 このタイプ、とにかく収納が少ない。

私は自分が家事をラクにしたい主婦なので、できれば洗濯機の周辺で「洗濯に関連する道具」「衣類」の収納も設けたいなと思います。洗面所には機能がたくさん必要なので、何を収納する場所が必要なのか、機能別に分類してみましょう。

洗面所の機能と収納するものの分類

「洗濯」に関連するもの

洗面所に洗濯機を置くことが多いので、洗濯に関連する道具も洗面所周りにある方が便利になります。

  1. 洗濯機に関連する道具(洗剤、柔軟剤、ストックを含める)
  2. 物干しに関連する道具(ハンガー、ピンチハンガー、洗濯バサミ)
  3. 靴洗い用のブラシ、バケツなど
「入浴」に関連するもの

洗面所とは浴室が隣り合うことがほとんどですので、入浴に関連するものの収納も洗面所に設ける必要があります。

  1. シャンプー・リンスなどのストック
  2. タオル
  3. バスマット
「衣類」に関連するもの

着替えは全く洗面所に置かないという家もありますが、乳幼児がいる家庭には収納できると便利ですよね。

  1. 下着類、室内着など
  2. 洗濯をする前の衣類や、複数回着る予定の室内着
  3. 乳幼児のいる家庭は「オムツ」
「洗面」に関連するもの

洗面台周りには「洗面」に関するものを収納しますね。

  1. 歯ブラシ、歯磨き粉(電動歯ブラシの場合はコンセントも使用)
  2. ドライヤー、ヘアブラシ、ヘアアイロン
  3. 洗顔フォーム、化粧水・化粧品など

このように分類して見ると、収納するものも、種別も多い・・・。
お子さんが小さいとお風呂でおもちゃを使うと思うので、さらに収納するものが増えますよね。

つまり洗面所が片づけやすいと、とても片付けやすい家になることが分かります。洗面所の収納を「洗面化粧台」で満たすのは不可能です。「洗面化粧台」以外にも「使う場所の近くに片付けられる収納」をつくることをオススメしています。

みゆう建築士
みゆう建築士

とても片付けやすく、洗濯や物干しがしやすい「都会の小さな森の家」の洗面所を紹介します!洗濯機の上に「洗濯道具の収納」、洗面台の下部・三面鏡に「洗面・化粧道具の収納」、背面収納に「衣類」「入浴」に関連するものが収納できます。また、ウォークインクローゼットが洗面所の隣にあるので、衣類も出し入れしやすいのです。

洗面所背面と洗濯機周りに収納を充実させる

水栓から離れた背面収納に「タオル、衣類」を収納

私はたとえ一坪しか洗面所にスペースがとれなくても、できるだけ背面に壁面収納を設けるよう設計します。洗面所収納で気を付けるのは湿気。浴室や洗面台の水栓・シンクの近くは湿気がたまりやすいので、そこから少し離れている背面の壁面収納はタオルや衣類を収納するのに適しています。また洗面所に収納を設ける時は、しっかり風が流れて換気できる間取りにします。

「都会の小さな森の家」の洗面所、壁面収納にはタオルやストック類を扉の中に収納しています。衣類はOPEN棚のかごの中に収納しているので、出し入れがしやすいと好評です。OPEN収納下部には室内干しに有効なサーキュレーター(扇風機)を収納しています。

洗面所の薄い背面収納
みゆう建築士
みゆう建築士

「都会の小さな森の家」では、洗面所の背面に薄い壁面収納を設けました。浴室と少し離して、湿気がたまりにくい位置に収納を設けています。背面に収納を作る時は、洗濯機の搬入・搬出できるスペースは確保するように気をつけましょう。

洗濯に関連する道具は「洗濯機」の近くに収納

洗濯に関連する道具は、やはり洗濯機の近くにある方が便利です。

この洗面所には「ホシ姫サマ」というパナソニックの電動物干しユニットがありますので室内干しが可能です。外干ししたり浴室乾燥機で干したりするときも一時干しができるので、洗濯に関連する道具は洗面所に収納しています。

「都会の小さな森の家」の洗面所、洗濯機上の収納家具には「洗濯関連の道具」を片付けられるようにしました。洗濯関連の道具とは洗剤、ハンガー、ピンチハンガーです。ハンガーを簡単に収納できるようにパイプを渡しています。洗濯に関連するものが全てこの洗濯機上に収納できるので便利ですね。

洗面所の洗濯機収納と掃除用品収納

室内干し空間はホコリが落ちる!掃除道具を収納するスペース

さらに、洗面所の背面にある壁面収納には、表からは見えにくい場所に掃除機など掃除用具を片付けられるようにしてあります。洗濯物を室内干しするとホコリが落ちますので、コードレス掃除機が洗面所に置いてあると掃除も楽ですね。掃除機を置くことを決めて家具を製作しているので、充電用のコンセントも備えています。

2 簡単に片づけられる、片付け動作の少ない収納にする

たくさんの収納本や片付けの本がありますが、片づけやすい家を作るには、最終的に「自分にとっての片付けやすさ」を選ぶことが大事です。

引き出しや扉があると中に入っているものが見えないのですっきり片付きますが、中が見えないから何でも収納して中身を把握していない、ということはよくあります。

簡単に片づけられる収納は「片付け動作(アクション)が少ない」こと。

片付け動作の数え方

1アクション.収納の場所まで移動する
1アクション.扉を開ける
1アクション.収納ボックスを取り出す
1アクション.収納ボックス内の物を取り出す

例えば収納の前に荷物が置いてあったら、それを動かすのも1アクション。収納までの距離が遠いと、最初の1アクションがさらに増えます。OPEN収納はその点アクションが減ってとても便利ですが、ホコリや汚れがつくこともあるのでそれもひとつのアクションになってしまいます。

片付け動作の少ない収納事例~OPEN棚のパントリー

オススメはOPEN棚のパントリー。OPENが抵抗ある場合は、引き戸の壁面収納も便利です。「森を望む家」のパントリーは、棚の奥行が浅く一目で収納したものが分かる可動棚収納です。壁の両側にあるので大容量。キッチンのバックヤードにあるので丸見えにはなりません。パントリーの入口をロールスクリーンや引き戸などにしておくとドアの開閉動作回数が減るのでオススメです。

自分にとって片付けやすい動作と、片付けの癖、よく使う物の出し入れのしやすさを見極めると良いでしょう。

OPEN棚のパントリー

3 使う頻度に合わせて収納の優先順位を決め、収納する場所を分ける

収納には「頻繁に使うもの(一軍)」と「たまに使うもの(二軍)」、「ほとんど使わないけれど来客時などに使うもの(三軍)」があります。

使う頻度に合わせて収納の優先順位を決める

【一軍】頻繁に使うもの:使う場所の近くに収納するのが必須
【二軍】たまに使うもの:比較的使う場所の近くに
【三軍】ほとんど使わないけれど来客時などに使うもの:一軍とは分けて収納

二軍、三軍のものは逆に一軍と一緒に収納しない方が良いと思います。

例えば、ダイニングの収納で一番使いやすい場所にある引き出しは一軍。
足元や高い位置にある収納は二軍にすると使いやすくなります。

収納の一軍にベストな「家具の高さ位置」

【開き戸や引戸、OPEN収納】おへそから目の高さ
【引き出し収納】引き出したら上から全てが見える高さ(胸より下。引き出しの開閉の高さも屈まず引き出しやすい高さで)


パントリーやウォークインクローゼットなどのバックヤードに一目で見られるOPEN収納や引戸の壁面収納を設けると収納量が増えます。可動棚にしておけば、収納するもののサイズに合わせて収納ができます。そのようなバックヤードに二軍、三軍やストック品を収納しておけばとても片付けがラクになりますよ。

キッチンの一軍、二軍、三軍の収納事例

「都会の小さな森の家」のキッチンは、キッチン本体の引き出しとキッチン背面収納に【一軍】のキッチンツールを収納しています。それに対して、パントリー手前はキッチンのストック品や【二軍】のキッチンツールを。奥や高い位置には日常あまり使わない【三軍】のキッチンツールを収納しています。

キッチン本体の引き出し、背面収納は一軍の収納ゾーン!

キッチンの1軍収納

パントリー手前は二軍、高い位置とパントリー奥は三軍の収納ゾーン

キッチンの2軍、3軍収納
建築主
建築主

頻繁に使うものを厳選するようになったので、片付けがとても楽になりました。たっぷり収納を設けましたが、使用頻度によって収納位置を決めているので片付ける時も取り出すときも迷うことがなくなりました。

4 とりあえず収納は作らない

住宅設計をしているときに「収納が足りなくなったら困るから、とりあえずロフトが欲しい、納戸が欲しい」などの要望が出てきます。この「とりあえず」はできるだけ再考してもらいます。

なぜなら「とりあえず収納」には、不要なものが集まってしまうからです。特に階段下収納。奥行が深いけれども天井が低くて収納しにくいものが多いです。ロフトは昇り降りが大変なので、重いものの上げ下げはできないと思った方が良いでしょう。

収納しにくい場所には使わないものが集まってくるので、万年片付かないものの巣窟となります。 洗面所に収納が欲しいからと高い位置に「とりあえず収納」を作ったらほとんど使わない、という例もあります。

階段下収納やロフトを作って失敗しないために!

使える階段下収納、納戸やロフトをつくるためには、不要なものが集まらないように、具体的に何を収納するのか決めましょう。

例えば「季節外の家電(扇風機、ストーブなど)」「お雛様」「客用布団」「季節外の服」など。 目的がある収納なら、それらをワンアクションで取り出せる収納を作ればOK。 目的がないと奥行が深すぎたり、浅すぎたりして、重ねないと収納できなくなります。

使える階段下収納

5 一時置き収納スペースはあると便利

「とりあえず収納」はNGですが、急な来客時や、どうしても忙しくて片付けられない時にごちゃごちゃするものを「一時置きする収納スペース」をつくるのはおすすめです。

「とりあえず収納」と「一時置き収納」の違い

とりあえず収納 → 収納するものが増えても困らないように作る収納
一時置き収納スペース → 急な来客時などに片付ける収納

収納ルールをガチガチに決めて、自分を追い詰めると疲れてしまいます。時には気楽に「隠してしまう」、息抜きとなる収納スペースも必要です。

ただし、片付けをする余裕があるときは正規の収納場所に戻せるように、家の奥まった位置ではなく、比較的生活スペースに近い位置に設けると良いでしょう。例えば「一時置き収納」としてパントリーの一部にスペースを確保するというのはオススメ。

キッチン横のパントリー
キッチン横のパントリー内部

まとめ:収納量より質を高め、使える収納スペースを作ろう

実はプロでも「収納面積を確保したら収納が多くて便利な家」と思っている設計者は多いのです。収納の量が多いことは悪いことではありませんが、必要な場所に必要な収納量がある「使える収納」の方がずっと暮らしやすくなります。

今から新築、リフォームをする場合は、とりあえず収納スペースを確保しておいて収納ツールでカバーするのではなく、収納テクニックに頼らなくても簡単に使える「収納」を計画することをオススメします。

まとめ
  • 使う場所の近くに片付け動作が少ない収納をつくる
  • 便利な場所にあまり使わないものを収納しない
  • 収納しにくい場所にとりあえず収納スペースを作らない
みゆう建築士
みゆう建築士

収納ツールといえば「100均収納」が人気ですが、安いから、使いやすそうだから、という理由だけで取り入れると逆に収納しにくくなるので気をつけましょう。収納に無駄なスペースが増えることもあります。使い方次第でおしゃれで安価で便利な収納グッズになるので、それが自分にとって「使いやすい収納」であるかよく考えて購入しましょうね!

この記事で紹介したみゆう設計室の設計事例

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