「家事ラク動線の家」をつくる

家事ラク動線の家をつくる

主婦・母である一級建築士のワーキングマザーとしての経験や悩み、お客さまとの対話、ご意見から生まれた「家事ラクな家のつくりかた」。リアルな声を元にした家事ラク動線の家づくりについて紹介します。「家事ラク動線の家」は、家事負担を減らすだけでなく、家族で家事をシェアできるようになります。

みゆう
みゆう

女性一級建築士みゆうです。住宅設計の仕事や、住まいの悩み相談で、家事を楽にしたい!というたくさんの悩みを解決してきました。実際の声を元に「家事ラク動線の家づくり」について紹介します。

家事動線とは

家事動線とは

「動線」とは、人が空間を移動するときの「経路」「軌跡」のことを言います。つまり「家事動線」とは家事をする上での「移動距離」や「動作」のこと

家事といってもその動作は多岐にわたります。家事の「一連の動作」が全て楽になり、家事の「動線」が短くなることが家事ラク動線の理想像です。

例として洗濯をするときの「動作」と「動線」を考えてみましょう。

洗濯に関する「家事動線」を考える

洗う衣類をまとめる

・カゴを使って洗濯物を分ける人
・そのまま洗濯機に入れてしまう人

これから洗う衣類のまとめかたによって動作は異なりますが、カゴを使う場合は「カゴを置く場所」と「洗濯機」との距離や動作が洗濯動線に影響します。

洗濯機で洗う

ただ洗濯物を洗濯機で洗うだけ!と思いがちですが「洗剤をどこに置くか」によって、洗剤置場と洗濯機の距離や動作が洗濯動線に影響します。

洗濯物を干す・乾かす

洗濯動線として一番意識した方が良いポイントです。

・洗濯機から洗濯物を取り出して「洗濯物を干す場所」まで運ぶ距離
・洗った洗濯物を干す動作(ハンガーを取り出す、物干し竿にかけるなど)
・どの環境で洗濯物を干すか(外干し、室内干し、衣類乾燥機、浴室乾燥機など)

洗濯機のある場所と物干し場所の距離、洗濯物を干す一連の動作が洗濯動線に影響します。

乾いた洗濯物を取り込む

洗濯物が乾くまで「待つ」という時間も家事時間。どこで干すか、乾かすかという方法によって「いつ洗濯をするか」という時間にも影響します。
洗濯物を取り込むとき、干している時に衣類からホコリが落ちるので、その掃除も必要。次の「収納」方法によっても動線が変わってきます。

洗濯物をクローゼット、箪笥などに収納する

洗った洗濯物を収納するのがとにかく面倒だと言われる方はとても多いです。干す場所(乾かす場所)と衣類収納の距離、収納方法によって大きく動線が変わります。

洗濯の家事動線の良い家

「家事動線」とひとことで言っても、洗濯だけでこれだけの動作が必要になります。その一連の動作がそれぞれ楽になれば、確かに家事が楽になります。

「家事動線が短い」と家事をする時間が減ります。つまりそのような家が「家事ラク動線の家」なのです。

「家事ラク動線の家」とはどのような家?

ところで「家事ラク動線の家」ってどのような家なのでしょうか?
女性建築士みゆうが「家事ラク動線の家」をつくるために意識して設計しているポイントは次の5つです。

「家事ラク動線の家」とは
  1. 自分の「家事の仕方」に合う間取り
  2. 家事の作業をする場所の近くに適切な収納スペースがある
  3. 無駄な動きをしなくて良い=動線が良い
  4. 家事動線がリラックス空間と交わらない
  5. 家事をする場所に「機能的な余白」がある
みゆう
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このポイントを押さえた間取りは家事が楽になったと好評です。それでは、この「家事ラク動線の家」をつくる5つのポイントについてそれぞれ紹介します。

1.「家事の仕方」に合う間取り

家事の仕方は人それぞれで、自分の家事の仕方に合う家でないと「家事ラク」にはならないのです。

まずは、いえづくりを始める前に自分たちの「家事の仕方」を知りましょう。

みゆう
みゆう

家事の仕方を知るためにみゆう設計室がお客さまにヒアリングする内容の一部を紹介します。

家事の仕方
「家事の仕方」について考えてみよう!
  • どのような料理をつくることが多いですか?
  • 包丁は何本持っていますか?
  • 洗濯はどのような洗濯機を使いますか?
  • 洗濯物はどこで干しますか?
  • どのような掃除機を使いますか?
  • どのような家事分担をしていますか?

「よくつくる料理」でわかること

「よくつくる料理」で、家事ラクになるキッチンのイメージが膨らみます。

和食が多い人は鍋類、小鉢が多く、洋食が多い人は大きめの平皿が多くなります。お菓子作りが好きな人は道具も多いですし、いろんな種類の料理をする人は調味料の種類も多いです。包丁の本数と使用頻度を聞くと、料理のバリエーションが分かります。

「洗濯の仕方」でわかること

洗濯機や衣類乾燥機の種類、アイロンを使う頻度や、洗剤の種類(液体と粉でスペースが変わります)について聞きます。どこで洗濯物を干して、どこで畳むか。洗濯物の干し方によって物干しの道具の種類が変わりますし、収納場所も変わります。

「掃除機の種類」でわかること

コードレス掃除機を使うのか否かでコンセント位置、掃除機収納場所が変わります。「掃除機を置く場所はどこにしますか?」と聞くと悩むかもしれませんが、「どんな掃除機を使いますか?」であれば答えやすいでしょう。将来的にルンバを使いたい、というような思いがあれば、ルンバに対応しやすい家にしておく必要があります。

みゆう
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家事の仕方を自分で把握するのは意外と大変な作業です。みゆう設計室では家事の仕方や癖、苦手な作業などをお話しながら聞き出して、お客さまの「家事の仕方」に合った間取りを作っています。 → みゆう設計室のヒアリング方法(みゆう設計室HP)

2.家事をする場所の近くに収納を設ける

作業をする場所のすぐ近くに収納スペースがある。とても簡単で当たり前のようで、それができている家はあまり多くありません。洗濯物を干す場所に「ハンガー」を収納する場所はありますか?料理をする時によく使うツールをすぐ取り出せますか?


家事をする場所の近くに「家事に必要な道具」を取り出す、収納できる場所がある。

そのような動線の家は家事が楽になります。

洗面所の洗濯機収納と掃除用品収納
洗濯機の上にハンガーやハンガーピンチ、横には掃除道具もあるので室内干しも楽にできる。
みゆう
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頻繁に使うものなのに、いつも置き場所に困っているものや、表に出しておきたくないのにいつも表にでてしまっているモノ。それらを収納する場所が、使う場所の近くにあるかチェックしてみましょう!

3.無駄な動きをしなくて良い

動線とは人が移動するときの軌跡・経路のことを言います。つまり、無駄な動きをしない間取り=動線の良い間取りになります。
洗濯をするときも、料理をするときも、「一歩」でも無駄を減らすと劇的に家事負担が減ります。

動線というと平面上の距離と思われがちですが、使いやすい「高さ」もあります。高さ方向に姿勢を崩すことなく物を移動させられる「縦動線」を上手に使うと無駄な動きが減り片付けがしやすくなりますよ。

キッチン背面収納の収納力
食洗器をあけると背面に食器収納があるので一歩も歩かずに片付けられる。
みゆう
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広いキッチンは使いやすい!と思われがちですが、動く距離が増えると逆に料理をする時間に動く歩数が増えて家事負担が増えます。広くても、狭くても、無駄な動きを減らせてスムーズに家事ができるのが「家事ラクなキッチン」です!

4.家事動線がリラックス空間と交わらない

家事の作業をする場所は、リビングやダイニングなどリラックスして過ごす場所と分けることも「家事ラク動線の家」を作るために大事なポイントです。

リラックス空間
リラックス空間と家事空間を交わらせない

リビングで部屋干しをしたり、リビングから洗濯物が丸見えの家がありますが、それではリラックス空間での落ち着きを損ないます。また、家族が過ごす場所を横切って「ものを取りに行く」ことのない間取りにしましょう。

みゆう
みゆう

リビングダイニングなどと家事空間をしっかり分けた家事室が最近は大人気です。心穏やかに家事ができる空間があると、家事ストレスは減りますね!

5.見落としがちな「機能的な余白」が家事ラクにつながる

機能的で程良い「余白」があると家事が楽になります。ちょっと物を置く場所、少しほっとするゆとりある空間。

かんたくんのある家事室
窓から屋外の木々が見えるゆったりとした家事室

子どもは洗濯物を干す、キッチンで料理をする、という時に限って近くに寄ってきたがる傾向があると思います。安心できる家事空間は、家事をする人の家事ストレスも軽減できますね。

また、家事をするスペースに機能的な余白を設けると、お子さんがお手伝いをしやすくなります。

みゆう
みゆう

「家事ラク動線の家」をつくるポイントを5つあげました。
主婦から見ると当たり前のように見えることなのですが、家づくりの過程で意外と見落としがちなことばかりですね!

家事ラク動線の家のメリット

ここまで「家事ラク動線の家」をつくるポイントを紹介しました。「家事ラク動線の家」であれば、家事が楽になることが最大のメリットではありますが、他にもメリットがあるのです。それは「家事が好きになる」ということ。

家事が好きになる「家事ラクな家」

洗濯が好き

SNSで好きな家事についてアンケートを取りました。その時に、好きな家事は苦痛ではなく、達成感に喜びを感じるという回答が得られました。

もしかしたら家事が苦痛でなければ、家事が好きになるのかもしれません。つまり家事ラクな家をつくれば、家事が好きになるのです!!

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家事ラク動線の家で人気の「家事室」

今注目の「家事室」をご存知ですか?

みゆう設計室が思うところの「家事室」とは、日常を過ごすリビングダイニングなどのリラックス空間と家事とを分けるために設ける「家事をするための空間」です。

リラックスできるリビングダイニングや個室と分けたい「家事機能」。その家事機能を集中させた部屋が、イマドキの「家事室」なのではないかと思います。

みゆう
みゆう

「洗濯」に関連する「家事室」が欲しい!という要望が今とても増えています。家事室を作れば必ず家事が楽になるとは限らないので、何のために家事室が必要なのか考えてみましょう!

家事室とは? 家事室とはどんな部屋?家事ラク間取りの家をつくる工夫

家事ラク動線の落とし穴

ここまで家事動線の良い家は家事が楽になる、と伝えてきました。
しかし「家事動線が良ければ必ず家事ラクになる」という思い込みは一度捨てて欲しいと思っています。最後は家事ラク動線の落とし穴について紹介します。

家事動線が短いから家事が楽になるというわけではない

回遊できる収納スペース
収納量と動線の優先順位を見極めて間取りをつくる

「家事動線」とは家事をする上での「移動距離」や「動作」のことですが、実は、家事動線が短いから家事が楽になるとは限らないのです。動線を優先してしまうと収納力が落ちたり、余分な面積が必要だったりします。

「家事ラク動線」は思い込みでは作れません。あなたにとってその動線が必要なのか、それとも収納がある方が便利なのか、見極めることが大事なのです。

「家事ラク間取り」で失敗しないためのチェックリスト
  • 家事に関連する一連の動作に無駄な動きが無い
  • 家事に必要な収納スペースが確保されている
  • 自分たち家族の生活習慣に合った「家事ラク間取り」である

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家事動線が短い間取りの失敗例 家事動線が短い間取りの失敗例~その動線、本当に家事が楽になる?

「家事ラク動線の家づくり」のまとめ

「家事ラク動線の家」をつくるレシピ。いかがでしたか?
家をつくるからには家事が楽になる家にしたいですよね。あなたにとっての家事ラクな家は、あなたにしかつくることができません。あなたにとっての「家事ラク動線の家づくり」、いえづくりレシピを参考にしていただければ幸いです。

まとめ
  • 「家事の仕方」に合う間取りにしよう
  • 家事をする場所の近くに収納を設けよう
  • 家事動線とリラックス空間を分離しよう
  • 家事のためのスペース「家事室」をつくろう
  • 自分仕様のキッチンを作ろう
みゆう
みゆう

ここに書いていることは「家事ラク動線の家」をつくるための方法の一つです。大事なのは、あなたにとっての「家事ラク動線の家」をつくること。自分の家事の仕方を見直して、自分にとっての「家事ラク動線の家」を作って下さいね。

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